家族の話 最後の給食と曲がったスプーン|疎遠な兄との和解を描く感動短編
「兄さん、見に来ないか。最後くらい」そう電話で言ったとき、私は右手で曲がったスプーンを握っていた。柄の途中がくの字に折れ、食べ物をすくえば少しだけ左へこぼす、役立たずのスプーンである。兄と私のようだ、などと考えてから、自分の比喩の安っぽさに嫌気がさした。兄はしばらく黙り、「仕事中だろ」と言った。「だから見てほしいんだ」返事はなかった。ただ、切れる直前に、小さく咳をする音がした。
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泣ける話
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