家族の話 【感動する泣ける短編】父と息子の確執と継承を描く、靴修理店の物語
商店街の朝は、革の匂いがする。魚屋の生臭さや、パン屋の甘い湯気に混じって、うちの店先からは、濡らした革と油と、少し焦げたゴムの匂いが流れていく。「野口靴修理店」父が若いころ、自分で彫ったという木の看板は、雨風に削られて、もう角が丸い。その下で私は、朝いちばんに店のシャッターを上げる。半分まで持ち上げたところで、通りの空気がひやりと足もとへ入ってくる。
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