家族の話 終電のあと、母から届いたLINE
母からLINEが届いたのは、終電が出る一時間前だった。「今夜、駅で少し会えませんか」私は画面を伏せた。駅前のコンビニは、終電前だけ、この町でいちばん忙しい場所になる。缶ビールを買う会社員。充電器を探す若者。値引き弁当を二つ抱えた、私によく似た疲れた男。返信する暇がない、と思った。
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家族の話 父が亡くなった朝も、店じゅうの時計は動いていた。 壁の振り子時計。 柱に掛けた鳩時計。 ガラスケースに並ぶ目覚まし時計。 何十もの針が、父の死など知らぬ顔で、少しずつ先へ進んでいた。 止まっていたのは、店先の大時計だけだ […]
家族の話 祖父が亡くなった夜、私は商店街の店先で、片方だけの子ども靴を磨いていた。 黒い革は白く擦れ、つま先には不格好な縫い目が残っている。 祖父はその靴を見るたび、 「これは、お前が初めて直した靴だ」 と言った。 私は毎回、笑っ […]
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