家族の話 【泣ける短編】亡き祖父が残した最後の靴音
祖父が亡くなったあと、私は病院のリハビリ室で、彼の最後の靴音を聞いた。右足を引きずる音。杖が床をたたく音。苦しそうな息。それから、子どものように弾んだ声。「今日は、三歩じゃ」その録音を聞くまで、私は祖父が私を嫌っているのだと思っていた。私は雪の多い町の総合病院で、看護師をしている。
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家族の話 父が亡くなった朝も、店じゅうの時計は動いていた。 壁の振り子時計。 柱に掛けた鳩時計。 ガラスケースに並ぶ目覚まし時計。 何十もの針が、父の死など知らぬ顔で、少しずつ先へ進んでいた。 止まっていたのは、店先の大時計だけだ […]