家族の話 離婚を考える夫婦の再出発|片方の手袋を返す夜【感動短編】
「今夜、あの子たちの卒業式をやってくれないか」 班長は、段ボールいっぱいの紙の花を私に押しつけた。 私は町外れのバス会社が共同配送を請け負う倉庫で、夜行バスから降ろされる小口荷物を仕分けている。 昼と夜の間で持ち主を待つ鞄や小包は、いくら眺めても何も語らない。 人間もそれくらい行儀よく黙ってくれればよいのに、と私はよく思う。 卒業するのは、夕方の仕分けを手伝ってきた通信制高校の三人だった。 荷札の読み方も、重い箱を腰で持ち上げることも、三人に教えたのは私だった。