2026-07

泣ける話

祖母の連絡帳を読んだ夜、私は“見守る愛情”を知った

保育園の朝は、泣き声から始まる。泣き声、といっても悲しみばかりではない。母親の脚にしがみついて泣く子。眠くて泣く子。なんとなく空気に呑まれて泣く子。それから、泣かないでいるために、唇だけを一生懸命むすんでいる子。私はその顔を見るたび、ああ、人間はこんなに小さいころから、平気なふりを覚えるのだなと思う。
家族の話

お守りの裏

祖母が入院したのは、梅雨の匂いが病院の白い壁にまで、じっとりと沁み込んでくるような六月の終わりだった。 私はその病院で働く作業療法士だった。 祖母が患者として運ばれてきたと聞いたとき、私は驚いた、というより、胸の奥に長いこと置きっぱなしにしていた鈍い石を、誰かにそっと指で押されたような気がした。 ついに来たのだ、と思った。