泣ける話 潮騒の圏外
離島の夜は、思っているより静かではない。 波の音があるし、風があるし、港に繋がれた船が、眠りの浅い獣みたいに時々きしむ。 それに加えて、民宿というものは、消灯したあとも意外と気配をやめない。 廊下のきしみ、洗面所の蛇口、二階で寝返りを打つ客の布団の音、どこかの部屋で閉め損ねた窓が、風に押されてかすかに鳴る気配。
泣ける話
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