泣ける話 祖父の通帳、最後の手紙|家族の愛情を描く泣ける短編
団地の廊下は、いつも少しだけ病院に似ている。古いコンクリートの匂いと、誰かが煮ている味噌汁の湯気と、遠くで鳴るテレビの音が、薄い壁の向こうで混ざっているせいかもしれない。夕方になると、西日の色まで消毒液みたいに白っぽく見えることがある。私が育った団地は、そういう場所だった。今はもう、そこに祖父はいない。
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