夜になると、決まって思い出す声があった。
「ちゃんと食べてる?」
母の声だった。
一人暮らしを始めてから、
私はほとんど連絡をしていなかった。
忙しいから。
それが理由だった。
でも本当は、余裕がなかっただけだった。
ある日、久しぶりに実家に帰った。
テーブルの上には、私の好きだった料理が並んでいた。
「久しぶりだから、ちょっと張り切っちゃった」
母はそう言って笑った。
そのとき、なぜか胸が締めつけられた。
私は、何も返せていなかった。
帰り際、母は小さく言った。
「無理しないでね」
その言葉が、ずっと頭から離れなかった。
帰りの電車の中で、私ははじめて泣いた。
誰にも見られない場所で、
ただ静かに泣いた。
それだけで、少し楽になった気がした。
※本作品はフィクションです
心が疲れているあなたへ
がんばりすぎていることに、
自分では気づけないことがあります。
でも、誰かのやさしい一言で、
ふっと力が抜ける瞬間があります。
どうか、無理をしすぎないでください。


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