5分後に泣く…短編なのに心に刺さる感動の話

母と娘の温かな時間 泣ける話

あの日、母のスマホに残っていたメモを、私は偶然見つけた。

それは買い物リストでも、予定でもなかった。

ただ一行だけ、こう書かれていた。

「今日は、ちゃんと笑えていたかな」

母は、よく笑う人だった。

少なくとも、私の前ではずっとそうだった。

忙しい日も、疲れている日も、
「大丈夫、大丈夫」と言って、いつも明るく振る舞っていた。

でもそのメモを見たとき、私ははじめて思った。

あの笑顔は、本当に大丈夫だったのだろうか。

母が倒れたのは、その一週間後だった。

突然だった。

電話を受けて病院に駆けつけたとき、
母はすでに意識がなかった。

「無理が続いていたんだと思います」

医師はそう言った。

私は、何も気づいていなかった。

見舞いの帰り道、私はあのメモを思い出した。

「今日は、ちゃんと笑えていたかな」

その言葉が、何度も何度も頭の中で繰り返された。

母は、誰にも弱さを見せなかった。

だから私は、それを「強さ」だと思っていた。

でも違ったのかもしれない。

ただ、誰にも見せられなかっただけだったのかもしれない。

数日後、母は目を覚ました。

まだ言葉は少なかったけれど、
私の顔を見ると、小さく笑った。

そのとき、私ははじめて言えた。

「無理しなくていいよ」

母は少し驚いた顔をして、
それから、ほんの少しだけ泣いた。

私は、その涙を忘れないと思う。

※本作品はフィクションです


心が疲れているあなたへ

誰かの前では元気でいなければいけない、
そう思ってしまうことは少なくありません。

でも、本当は無理をしなくてもいいのかもしれません。

少しだけ弱さを見せることも、
人として大切なことです。

あなたが、ちゃんと呼吸できますように。


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