先生

泣ける話

鍵を閉めた日のこと

校舎というものは、子どもがいなくなると、急に年を取る。昼のあいだ、あれほど騒がしく笑っていたくせに、放課後の廊下は、嘘みたいに静かになる。窓ガラスに西日が差し、床のワックスだけが、薄く金色に光っている。私は、その時間が嫌いではなかった。いや、好きだったと言うと、少し気取って聞こえるかもしれない。
泣ける話

止まっていた時間

先生を最後に乗せたのは、梅雨のいちばん深い夜だった。いや、最後に乗せたと思っていた、というほうが正しい。正しい、などと書くと、何か私が冷静で、物事をちゃんと見ていた男みたいだが、実際の私はその逆である。四十二にもなって、未だに思い込みで腹を立て、言わなくていいことを言い、あとで一人になってから、その言葉の角で自分の胸を傷つける。そういう、湿った紙みたいな人間だ。